健康、売買、バイバイ

SNS、ネット全盛時代。
例えばインスタグラムやX(旧Twitter)を開けば
疲れや骨のゆがみ、むくみ、滋養強壮に、などのCMが数秒で視界に流れてくるはず。

そういうCMやサイトを見ていて『実は○○なんです』と断定的に言っている場合注意が必要だ。そこで立ち止まってほしいのは結局何を根拠に?という疑問をまず持つこと。例えば高血圧や糖尿病の患者数は何億人といる。あるサプリを飲んだら高血圧や糖尿病やに効果あり!と書かれていたとする。

もしあるサプリを飲んできちんとした治療効果があるならなぜそれは薬として売り出さないのだろう、という疑問が真っ当だ。
というのも、本当に効果があるものであれば国がまず認可し保険を使える状態にする
→誰もが病院で処方してもらうことができる
→薬として何億人もの患者さんが買う
→サプリの会社じゃなくて製薬会社が必ず目を付けるはず。逆になぜ製薬会社が医薬品としてかかわっていないのかな

というのが段階的に理解できるはず。

 

思考として厄介なのは近所の誰々さんを信用してしまったり、
面識はなくて有名人の誰それを信用してしまったりすること。
例えばその道のプロとして有名になっていてその分野の内容を商品として売っているなら
その商品に効果がなければその有名人に傷がつく構造。だからまだ信頼性が高いと思う。

しかし、評論家や文化人やタレントを起用してたりするとその人物の信頼性を頼って商品を購入するケースが出てきてしまう。こういう場合はその商品に対してプロじゃないわけでうたい文句の信ぴょう性は担保されていない。

 

医学で言うエビデンスレベル、というのがある。意見の信頼性にも段階があり多くは5段階に分けられる。信ぴょう性が高い層順で上位1~4の段階にある意見は論文として発表されているものであり、論文の種類で信ぴょう性を決めている。そこでお医者さんの意見はというと??

医学の意見で信ぴょう性がもっとも低いエビデンスレベルは専門科の意見、というのが世界の常識なのだ。つまりお医者さんの意見は最も信ぴょう性の低いレベルに該当するということ。
そういう観点で言うと専門家にもいろいろなレベルがある。いわゆるピンキリ。
レベルの一定しない専門家集団なんてのは信ぴょう性が一番低いレベルというわけだ。お医者さん以外は素人なのだけど、論文をきちんと読んだりできる人も素人の中にはいて、テレビの学者さんなんかは割と真っ当なことを言ったりすることももちろんある。

 

上記を知ってCMなんかの謳い文句を見てみてほしい。
そうすると、肥満に効く!と言っているけど以下の疑問がわく。

  • 誰がいってんの?→タレントさんと企業がいってんのね。専門家でもないやん。
  • 何を根拠に言ってんの?→根拠ないん?願望レベルやん?売ってええん?
  • 効果が無かったりええとして、使って副作用ないん?→医薬品じゃないからどんな合併症でるかまとめてないっす。

上記みたいなことが日本ではまかり通ってる。その点サプリや健康食品ではなく国の認可を受けた医薬品ともなると製薬会社は一応何か副作用が出た場合は集計して登録しなきゃならない。この薬を飲むと○○%の確率でこんな副作用が出る可能性があると説明書に記載しなきゃならない。でもサプリの類でどんな副作用がでるかってほとんど書かれてないんじゃないだろうか。具合が悪くなったらやめてね!みたいな文言はあってもどんな症状がでるのかが知りたいところだ。

 

勘違いしてほしくないのは、製薬会社の出した薬だったら問答無用で信用できる、と言いたいわけではない。自分が買う商品は効果があるという論拠すら怪しいものを買っている可能性があるということをまず自覚するスタイルが吉。製薬会社だって不正をした企業は過去にある。けれど制度として国が認可する以上は顧客の安全が守られるためのシステムがある。そのようなシステムもなく顧客が守られず自己責任で好きにしてちょうだいという商品とは一線を画すのは言うまでもない。

 

サプリでさへ沢山使えば毒でビタミン剤なんかも脂溶性と水様性では起こる現象が違う。水様性ならたくさん飲んでもおしっこで体の外に流れる。ビタミンCの取りすぎで死ぬことはない。果物にビタミンCはたくさん入っているけど果物の食べ過ぎからビタミンCが蓄積して死ぬことは無いのはそういう理由だ(そもそも蓄積しないが)。

 

しかし脂溶性ビタミンは蓄積するのでたくさん飲めば健康になるどころか毒だ。
『ビタミン 過剰』で検索してみるといい。

 

ところで医学情報において、特に日本は日本語という特殊性から世界の常識が社会に入ってきにくい。英語圏の人は医学的な常識やあるいはエビデンスレベルを考えて論文まで素人が読んで確認したりする文化がある。外国の有名でかつトップレベルの医療技術をもった病院ではホームページから健康情報にアクセスが可能だし論拠も明白だ。言語の壁でこの辺りも改善が乏しいし、いまだにネット社会から取り残されてる感が否めないのが日本の医療社会なのだ。

 

健康でいるにも流れてくる情報は玉石混合だ。何が正しくて何が間違っているかはかかりつけ医をもっておいて相談するのが一番だと思う。もちろんピンキリの専門家なのでなかなか利益が一定しないが素人目線から一つ上の景色にはなるはずだ。

 

結論だが、
病気を治すと言う意味においては薬を使えば治癒したり改善することはあるだろう。しかし健康を担保するサプリや健康食品はないことを知っておくといいと思う。これを買えば健康問題には取り組んでいるよね自分!というようなものはなくて日々どう過ごすか(規則正しい生活、バランスの良い食事、運動、過度なストレスを抱えていないか、etc.…)が健康の中心に来るべきだろう。健康とはいかに日々の生活において管理・運営するかという視点から出発するのが王道だと感じている。