玉袋筋太郎 美しく枯れる

玉ちゃんの本を読んだ。

 

本の一つのテーマとして孤独への向き合い方が書かれている。
瀬戸内寂聴さんの本にもあったけど
何かに熱中していると感じられないけど
ふとした瞬間に孤独が顔をもたげて精神の表層に出てくることがある。

性差は無いと思っていたけど
僕の周りではどうやら女子には少なくて
男性には加齢とともに寂しさを感じる人が多いような気がしている。

特に男性というのはいろんなことを少しずつ、というよりは
熱中して一つを深く生きてしまう特性がある。

若い時期に何かに熱中してどこかで熱狂が冷めてしまったときに
皮膚に張り付いていた孤独の大きさに驚いて呑み込まれてしまうこともあるだろう。

人生は100年時代。孤独死は高齢男性の特徴。
それを踏まえるとひとつ言えるのは孤独に対する向き合い方を
会得しておくことは豊かに暮らすひとつの技なのかもしれない。

どんな人にも孤独はあって
普段はきっと忘れているだけ。
何かに熱中していれば気配すら感じない、
弱った時に姿を見せるあいつ。

孤独ってそんな特徴がある。
そうすると毎日充実して忙しく過ごしていれば
孤独を考えたり感じる時間はない。

こう考えてみると
今を集中して生きろ、という仏教の教えに近い。
孤独だなんだと考えていることが実は煩悩で
シンプルに何かに没頭してさえいれば煩悩は滅却できる。

仕事なのか趣味なのか
その内容は問わないけれど没頭できる何か。

今の時代選択肢が多い。ネットに繋がればどんなことでも情報に溢れている。
好きなジャンルができれば映画でも漫画でも地域や遠距離でも交流ができるし
オフ会だってある。個人的には足を運んで楽しめるものを選ぶといい気がしている。

趣味なら損得なく付き合える。年配者もいれば年下だっている。
自分はもう40も過ぎたおっさんでもし年下の友達ができれば
できるだけのことをしてあげたい。

食事をご馳走したっていいし
コーヒー一杯だっていい。若い人ならではの悩みを聞いて
本当に何とかしてあげたいと親身になることもあるかもしれない。

玉袋筋太郎も言ってた。
打算的に見返りを求めるのではけっしてない。
もうそういう歳は過ぎ去っていて
今は誰かの役に立てたかもしれないっていう貢献感。
それこそが誰かに繋がっているという絆。

貢献したい→貢献感を得る→人と繋がっていると感じられる暮らし。
本当に貢献できたかどうかはどうでもよくて
貢献できてたらいいな、くらいでいい。
それが孤独への特効薬。万能薬ではないけれど小さな『生きててよかった』の
積み重ね。

美しく枯れる。
玉袋筋太郎が現代のアドラーに見えた。そんな本。